1. 対象物件の概要 |
■ 敷地概要
- 敷地面積 約660u
- 買収面積 約300u
- 残地面積 約360u
- 取得割合 約45%
- 建築基準法の用途地域制限
第一種住居地域
- 建築基準法の建築制限
建ぺい率 60%
容積率 200%
防火指定 なし
■ 建物概要
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構 造 |
用 途 |
建築面積 |
延床面積 |
A棟 |
木造2階建 |
店舗併用住宅 |
55u |
105u |
B棟 |
木造2階建 |
店舗併用住宅 |
31u |
65u |
C棟 |
木造2階建 |
共同住宅 |
125u |
250u |
計 |
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211u |
420u |
- A棟は所有者が1階を店舗(美容室)、2階を住宅として利用しています
- B棟はA棟と同様に1階を店舗(着付け)、2階を住宅として利用しています。
- C棟は共同住宅として利用され、6世帯の入居が可能です。
■ 駐車場の利用概要
- C棟入居者用の6台、来客用の2台、及び自家用に1台の計9台の自動車保管場所があります。
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2. 検討のポイント |
- すべての建物が支障となっていること。
- A棟とB棟は共に一部が店舗として利用され、美容室を営む上で密接な関係であること。
- A・B棟の店舗併用住宅とC棟共同住宅はその用途上、密接な関係ではないこと。
- 敷地内にC棟入居者用・来店用・自家用、計9台の自動車保管場所が確保されていること。
- 公共交通機関は整備されておらず、自動車が主な移動手段であること。
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3. 考えられる案 |
今回の様に建物が複数有り、且つ残地がある場合には、その移転方法はそれぞれいろいろなパターンが考えられます。
具体的な案を検討する前に、各棟の残地内への移転方法ですが、A・B棟はそのままの形状で残地への再配置は可能であるため曳家工法を優先して考えます。
C棟は建物を90°回転させれば残地内に再配置することは可能ですが、それにより日照条件が悪くなり、住環境が低下します。これは入居者を募集する際、あきらかに条件が悪くなるため、建物を回転させることは合理的ではありません。又、改造工法も考えられますが、建物の支障割合が約40%にも及ぶため、改造により主要構造材に与える影響が大きく、やはり合理的ではありません。従って、C棟は構内再築として検討します。 |
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<第一案>A・B棟曳家・C棟構内再築 |
すべての建物を残地内に移転させることとして、A棟・B棟は共に曳家にて移転します。C棟は2階建では再配置出来ませんので3階建として構内再築させる案です。
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■ 利 点
- すべての建物の再配置ができます。
- A・B棟は曳家であるため間取りの変更がありません。
- C棟は空地への移転が可能なため入居者募集の準備期間が短かくて済みます。
■ 問題点
- 自動車保管場所が3台しか確保できません。
- 曳家期間中、営業休止が伴います。
- すべての移転工事が終了するまで約9ヶ月を要します。
- A・B棟の間隔が狭くなり住環境が低下します。
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第一案はA・B棟を共に曳家にて検討したため駐車場の確保が困難となりました。第二案では構内再築として検討します。
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<第二案>A・B棟構内再築(合棟)・C棟構内再築。 |
A棟とB棟は用途が同じことから建物を1棟に集約させ3階建にて再築します。C棟は第一案と同様に3階建で再築します。
■ 利 点
- すべての建物の再配置ができます。
- 集約することにより、各建物の間取りの確保が可能です。
- 移転順序のとおり、それぞれ完成後の移転が可能です。
- C棟は空地への移転が可能なため入居者募集の準備期間が短くて済みます。
■ 問題点
- 自動車保管場所が5台しか確保できません。
- すべての建物を再築するため建築費が高額になります。
- すべての移転工事が終了するまで約10ヶ月を要します。
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第二案では全ての建物を再築とし、さらに立体化することで残地内での機能回復を試みましたが、いくつかの問題点も残り、十分な機能回復とは言えません。
そこで、現在の建物の用途・関連性に着目してみます。
A・B棟はその用途上関連性が高く、分離して考えることは出来ません。しかし、C棟の共同住宅は必ずしもA・B棟と同じ敷地になくてはならないということはありません。そこで、A・B棟とC棟は分割可能であるとして次の案を検討します。
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<第三案>A・B棟構外再築・C棟構内再築 |
A・B棟は残地以外の場所へ移転先を求める構外再築とします。C棟は第一案と同様に 構内再築とします。
■ 利 点
- A・B棟は構外再築のため移転先にて機能回復が図れます。
- C棟の共同住宅用の駐車場は確保できます。
- C棟は空地への移転が可能なため入居者募集の準備期間が短くて済みます。
■ 問題点
- すべての建物を再築するため建築費が高くなります。
- 構外移転に伴い営業休止が生じます。
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第三案では建物の関連性に着目し、建物を分離しましたが、構外移転する建物をA・B棟に限定する必要はありません。従って、構外移転とする建物を変更し検討します。
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<第四案>A・B棟曳家・C棟構外再築 |
第三案とは逆の移転方法となります。C棟は残地以外の場所へ移転先を求める構外再築とし、A・B棟は第一案と同様に曳家とします。
■ 利 点
- C棟は構外再築のため移転先にて機能回復が図れます。
- A・B棟は曳家であるため間取りの変更がありません。
- A・B棟の自家用・来店用の駐車場の確保ができます。
- A・B棟は曳家のため再築と比較し経済的に有利です。
■ 問題点
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4. まとめ |
以上の四つの案をまとめると下記の表になります。
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移転方法 |
構内移転 |
分割移転 |
移転案 |
第一案 |
第二案 |
第三案 |
第四案 |
A棟 |
曳家 |
構内再築 |
構外再築 |
曳家 |
B棟 |
曳家 |
構外再築 |
曳家 |
C棟 |
構内再築 |
構内再築 |
構内再築 |
構外再築 |
有形的合理性 |
△ |
△ |
◎ |
◎ |
機能的合理性 |
△ |
△ |
◎ |
◎ |
経済合理性 |
○ |
× |
△ |
◎ |
認定 |
× |
× |
× |
○ |
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残地にて機能回復を図れるかの検討を行いましたが、第一案・第二案は共に建物を再配置することは有形的に可能ですが、従前の機能回復とはならず、採用工法とはなりません。
第三案・第四案はそれぞれの建物の用途と現在の使用状況を把握した上で分割しても機能を果たすことは可能であります。従って、分割移転の2案を経済比較した結果、第4案を採用工法として認定しました。
(曳家工法の採用については、確認申請が必要であるため許認権者との協議・確認が必要です。) |
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