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FileNo. 002
 
この事例は、地元密着の郊外型飲食店です。1階を店舗として利用し、2階が住居として利用されています。このような建物の利用形態は頻繁によく見かけられます。



1. 対象物件の概要

敷地概要
・ 敷地面積 約300u
・ 買収される面積 約100u
・ 残る面積 約200u
・ 買収される割合 約33%
・ 幹線道路に挟まれた住宅地域
・ 建築基準法の用途地域制限       第一種中高層住居専用地域

建物概要
・構造 木造二階建店舗併用住宅
  1階 店舗(日本料理店)
  2階 住宅
・ 駐車スペース 
  店舗来客用 7台分

 
2. 検討のポイント

移転方法は、客観的に通常の人、誰しもが行うであろうと考えられるものが採用されます。この事例で考えると、次の二点が大きなポイントとなります。

・ 建物はわずかしか支障となっていないが、来客用駐車スペースのすべてが支障となっている。
・ 半径20qには駅は存在せず、来客の大半は車による来店である。

店舗の来客用駐車スペースが喪失しては、この店舗の営業に著しい支障が生じます。よって建物を移転することにより、支障となっている7台分の駐車スペースをどの様に、確保するかが検討のポイントとなります。

 
3. 考えられる案

<A案>

最初に考える案は、建物を3階 にすることで駐車スペース の確保を図る案です。
しかし、建物を3階建にしても来客用の駐車スペースが4台しか確保できず、3台の駐車スペースが喪失してしまいます。車による来店が大半であるこの店舗では駐車場の確保は不可欠です。

それでは、1階をピロティー方式にしてはどうなるでしょう?
次の案は、この問題点をクリアできるでしょうか?

<B案>

1階を鉄骨造のピロティーにして駐車場とし、2階に店舗、3階に住居を配置する案です。
郊外型のファミリーレストランですと、1階車庫・2階店舗となる店舗は見かけますが、このケースのように小規模店舗で、さらに3階に個人住居があるという建物が一般的と言えるでしょうか?

また、結果的に1階の駐車場は柱の位置や車両軌跡を考慮すると合計で5台の確保しかできません。
したがって、残地で建物の移転による機能回復を図ることは不可能であるとの結論に至りました。


これまで、駐車場の重要性を、大前提に置き、移転の方法を検討してきました。
でも、本当に駐車場がいるのでしょうか?
駐車場がなくても、徒歩で来る人がいるので営業はやっていけるのではないのか?

このような考えが当然でてきます。
そこで、本件は駐車場の利用実態調査を行いました。

1. 調査日       ○月○日(月)〜○月○(日) 定休日(○曜日)を除く6日間
2. 調査時間      AM11時 〜PM21時まで(午後4時〜6時まで休憩)
3. 調査内容     ・ 徒歩による客数(来店・出店・滞在時間)
             ・ 車による客数  (     〃       )
             ・ 駐車位置

4. 調査結果    1日当たり平均来店車台数     37台
            1日当たり平均営業時間       455分 7時間35分
            平均回転率(来店台数÷7台)   5.2回
            1日当たり車利用平均人数     80人
            1日当たり徒歩平均人数       30人
            1日当たり平均総来店人数     110人
            車による来店割合           73%
            ※その他、調査内容は省略しました。

1週間の駐車場調査により、約7割以上が車による来店であるとの結果がでました。
また、駐車場が4台を越える営業時間が約6割、5台を越えての営業時間が約5割との結果も判明しました。

上記結果により、それぞれの売り上げ減少率は次のようになります。
(3台喪失の場合) 車利用割合 0.73 × 支障率 0.6 × 100 ≒ 44% 
(2台喪失の場合) 車利用割合 0.73 × 支障率 0.5 × 100 ≒ 36.5%

この結果を踏まえ、損益分岐点の計算を行った結果、駐車場が喪失した場合では、店舗の営業の存続ができないとの結論が判明しました。(赤字決算になるため)

4.決定

最終的に構外移転(残地以外の土地に移転する)が決定案となりました。発端は、来客用駐車スペースが無くなるという事です。現在の社会環境から考えると、自宅用の駐車場と異なり、来客用駐車場を敷地内に確保するという事が大きな検討の要因となる事です。
駐車場の必要性をより確立させるために、1週間の駐車場調査を行いましたが、このように委託として調査が行われることは、まれなケースであります。



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