1.対象の概要 |
■ 敷地概要
- 敷地面積 : 600u
- 買収面積 : 40u
- 残地面積 : 560u
- 取得割合 : 6%
- 建築基準法の用途地域制限
- 建築基準法の建築制限
- 建ぺい率 : 80%
- 容積率 : 200%
- 防火指定 : なし
■ 建物の概要 |
No |
構造及び用途 |
建築面積 |
延床面積 |
備 考 |
A棟 |
木造2階建店舗併用住宅 |
65u |
100u |
支障建物 |
B棟 |
鉄骨造平屋建作業場 |
30u |
30u |
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C棟 |
木造平屋建専用住宅 |
180u |
180u |
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合 計 |
275u |
310u |
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- A棟は所有者が1階を店舗(クリーニング業)、2階を住居として利用しています。
- B棟は機械設備を配置した作業場として利用しています。
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2. 検討のポイント |
- A棟のみ支障となります。
- 拡幅道路と残地には40pの高低差が生じます。
- A棟2階とC棟は、所有者が住居として利用しています。
- A棟1階とB棟は、クリーニング業の店舗と作業場として一体利用されています。
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4. 考えられる案 |
A棟はB棟が障害となり曳家は困難です。又、改造工法も考えられますが、支障割合が約50%となり、建物全体に改造が及ぶため採用工法とはなりません。従って、A棟は再築として、検討を行います。
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<第一案> A棟・構内再築工法(同種同等) |
A棟をC棟南側の空地へ再築する案です。
道路との高低差はスロープを設置し、機能回復を図ります。
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■ 利点
- A棟の建築後に移転することで、営業休止期間が短期になります。
- 従前と同様の機能が維持出来ます。
■ 問題点
- A棟の移転によりC棟の日照条件が悪くなり、住環境が低下します。
- 道路に面した店舗が敷地の奥に配置されるため、従前の営業形態の機能が低下します。
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第一案では、住環境と営業形態の機能面に問題点が残りました。第二案ではその問題を解消する案を検討します。
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<第二案> A棟・構内再築工法(照応建物) |
A棟を3階建の建物に再築する案です。
道路との高低差はコンクリート階段・スロープを設置し、機能回復を図ります。
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■ 利点
- 従前と同じ道路面に建築することで営業形態を損いません。
- 従前と同様の住環境が保たれます。
■ 問題点
- 3階建にすることにより、廊下、階段室の面積増加となり、第一案の建物移転費より高額となります。
- 第一案より営業休止期間が長期になります。
- 移転工事期間中の仮倉庫費用が生じます。
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第一案・第二案では、直接支障となるA棟のみで検討を行いましたが、第三案では支障とならないB棟の関連移転を考慮し、検討を行います。
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<第三案> 曳家工法 |
A、B棟を北側に曳家し、カーポートは西側に移転する案です。
道路との高低差は、第二案と同様な方法で機能回復を図ります。
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■ 利点
- 2棟曳家を行うことで、建物移転料が第一案・第二案より低額になります。
- 第二案より営業休止期間が短期となります。
- 従前の機能回復が図れます。
■ 問題点
- B棟・カーポートの関連移転が生じます。
- 移転期間中の仮倉庫費用が生じます。
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5. まとめ |
以上の3つの案をまとめると下記の表になります。 |
移転案 |
第一案 |
第二案 |
第三案 |
A棟 |
再築(同種同等) |
再築(照応建物) |
曳家 |
B棟 |
移転対象外 |
移転対象外 |
曳家 |
C棟 |
移転対象外 |
移転対象外 |
移転対象外 |
有形的合理性 |
○ |
○ |
○ |
機能的合理性 |
× |
○ |
○ |
経済合理性 |
△ |
× |
○ |
認 定 |
× |
× |
○ |
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上記より本件は、最も合理性に優れた第三案が採用になりました。
このように複数棟の建物がある場合は、直接支障となる建物のみの移転にとらわれることなく、支障とならない建物の関連移転も考慮し、経済的合理性を踏まえ検討を行うことが必要です。
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