1. 対象物件の概要 |
■ 敷地概要
- 敷地面積 : 336u
- 買収面積 : 108u
- 残地面積 : 228u
- 取得割合 : 32%
- 建築基準法の用途地域制限
第二種住居地域
- 建築基準法の建築制限
建ぺい率 : 60%
容積率 : 200%
防火指定 : なし
■ 建物概要
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構 造 |
用 途 |
建築面積 |
延床面積 |
A棟 |
木造平家建 |
専用住宅 |
82u |
82u |
B棟 |
木造平家建 |
専用住宅 |
78u |
78u |
合 計 |
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160u |
160u |
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■ 建物と敷地の使用状況等
- A棟は所有者と妻が居住し、どちらも高齢者です。又、所有者の妻は要介護者です。
- B棟は所有者の息子世帯が居住し、週末は要介護者の面倒を見ています。
- 敷地西側は、2台分の自家用車の駐車場となっており、それぞれの世帯で常時使用しています。
- 駐車場には要介護者のためにスロ−プが設置されています。
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2. 検討のポイント |
- 支障となるのはA棟のみであること。
- A棟の居住者は高齢であり、要介護者がいること。
- B棟は所有者の息子世帯が居住していること。
- それぞれの世帯用に2台の駐車スペ−スが確保されていること。
- 公共交通機関は整備されておらず、自動車が主な移動手段であること。
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3. 考えられる案 |
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<第一案> A棟・構内再築工法(照応建物) |
直接支障となるA棟の移転先を駐車スペ−スに求めます。A棟の形状を変えずに再配置するのは有形的に困難なため、2階建てとして建築する案です。B棟は直接支障にならないため移転対象外とします。
■利点
- A棟建築後の移転が可能であり、仮住まいの必要はありません。
- 経済的です。
■問題点
- 平家建から2階建にする事で、高齢者、要介護者の日常生活に支障が生じます。
- 駐車スペ−スが喪失します。
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平家建を2階建にする事で新たに階段の使用が伴います。又、敷地内に確保された駐車スペースが喪失します。これらにより高齢者や要介護者の日常生活に負担がかかります。したがって、残地でのA棟の再築は困難なため、第二案ではA棟の構外移転について検討します。
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<第二案> A棟・構外再築工法 |
A棟移転先を構外に求めます。B棟は直接支障にならないため移転対象外とします。
■利点
- 建物の使用形態に変更がありません。
- 駐車スペ−スが喪失しません。
- A棟建築後の移転が可能であり、仮住まいの必要がありません。
■問題点
- 所有者世帯と息子世帯が離れることで、介護が十分に行えません。
- 新たな移転先が必要になります。
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従来は、息子世帯の目の届く範囲にあった親の世帯(高齢者・要介護者)であるが、この様に離れてしまうと、今まで行われていた介護が、不十分になります。
次に第三案ではB棟の関連移転を検討します。
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<第三案> A・B棟構内再築(合棟) |
A棟とB棟を集約して2階建で再配置を行います。第一案の問題点を考慮して、A棟は1階に、B棟は2階に配置します。
■利点
- A棟を1階に配置する事で、高齢者、要介護者の日常生活に支障はありません。
- 従前同様の介護が可能です。
- 駐車スペ−スが喪失しません。
■問題点
- 再築期間中はB棟の仮住まいが必要になります。
- 支障にならないB棟が補償対象になり、補償額が高額になります。
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4. まとめ |
第一案・第二案では高齢者の生活環境や介護体制に問題が生じます。従って、本件は第三案が採用工法になりました。
これからの日本は、急速に高齢化が進んでまいります。補償の問題を考えるにあたり、移転対象となる建物に、高齢者や要介護者が居住してる場合も少なくないことでしょう。そこで、移転工法検討の折には、こういった社会環境の変化も合わせて、検討していかなければなりません。
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