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FileNo. 027
 

今回の事例は、現道拡幅事業により、自動車販売を行う会社が支障となり、合理的な移転工法を検討したケースです。




1. 対象物件の概要


■ 敷地概要
  • 敷地面積 : 940u
  • 買収面積 : 200u
  • 残地面積 : 740u
  • 取得割合 : 21.2%
  • 建築基準法の用途地域制限
      準住居地域
  • 建築基準法の建築制限
     建ぺい率  :    60%
     容積率   :   200%
     防火指定 :準防火地域

■ 建物概要
 
記号 構 造 用 途 建築面積 延床面積 建物支障面積
A 鉄骨造平家建 店舗 120.00u 120.00u 50.00u
B 鉄骨造平家建 店舗整備場 260.00u 260.00u 53.00u
C 軽量鉄骨造平家建 倉庫 35.00u 35.00u 0.00u
合計       415.00u  415.00u 103.00u

■ 建物と敷地の使用状況等
  • A棟は、5台のショールームと事務所として使用されています。
  • B棟は、8台のショールームと整備場として使用されています。
  • C棟は、タイヤ、部品、工具類の倉庫として使用されています。
  • 敷地の北側と南側は公道に面し、出入口が設けられています。
  • 敷地内には、5台分の来客用駐車場と搬送用車載車の駐車スペースが確保されています。



2. 検討のポイント

  1. 支障となるのはA棟とB棟であること。
  2. 敷地内に存する3棟の用途(ショールーム、事務所、整備場、部品・工具等倉庫)は営業上一体となって機能していること。
  3. 顧客の殆どが車の利用者であり、5台分の駐車スペースは必要不可欠であること。
  4. 建築基準法、道路運送車両法等、関係法令に適合すること。
    (その説明は多岐に及ぶため詳細については省略します。)

3. 考えられる案
<第一案> A棟曳家 、B棟構内再築(照応建物)

 A棟を北側に曳家し、B棟を2階建の照応建物として再築します。C棟は直接支障とならないため移転対象外とします。

■利点
  • A棟は曳家であるため、間取りの変更がありません。
  • 建物の機能が確保できます。
  • 経済的です。
■問題点
  • 来客用の駐車場が喪失します




第一案では、来客用の駐車場が喪失します。第二案ではこの点に留意して検討します。

<第二案>  A棟・B棟、構内再築(合棟)

 平家建てのA棟、B棟を集約して2階建で再配置を行います。
 
 集約建物の1階にショールームと整備場、2階に事務所を配置します。C棟は直接支障と ならないため移転対象外とします。

■利点
  • 来客用駐車場の確保が出来ます。

■問題点
  • 移転工期が長期に及び、営業休止期間が長くなります。
  • 補償額が高額になります。
  • 整備場の形状変更により作業効率が低下します。



 次に、第三案ではC棟の関連移転を検討します。

<第三案> A棟曳家、B棟・C棟構内再築(合棟)

 A棟を北側に曳家し、平家建てのB棟・C棟を集約して2階建で再配置を行います。
集約建物の1階にショールームと整備場、2階に事務所を配置します。


■利点
  • 建物の機能が確保できます。
  • 来客用駐車場の確保が出来ます。

■問題点
  • C棟の関連移転が生じます。





4. まとめ

 本件は、支障となるA棟とB棟の建築が残地内において可能であるか検討を行いました。第一案は経済的ですが、必要不可欠な来客用駐車場が確保できないことから採用にはなりません。第二案は、建物の大幅な形状変更により、移転工期が長期に及び補償額が高額になります。また、間取りの変更により整備場の作業動線に支障をきたします。第三案は、支障とならないC棟の関連移転が生じますが、従前と同様の利用形態が維持でき、補償額も第二案より低額になります。よって、本件は経済合理性が高い第三案を採用工法として認定しました。


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