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FileNo. 006
 
今回は、道路整備事業により支障となる駅周辺立地型パチンコ店の事例です。
対象物件の概要1に示すとおり建物の移転工法は構外移転となり、詳細は省略させていただきます。
パチンコ店はその出店にあたり風営法の厳しい規制を受けます。また、ホール内の遊技機設置についても同法の適用を受けるものであります。
通常、新店舗を開店する場合、遊技機は新しいものを導入しますが、諸条件を満たせば中古機による営業も可能です。
従って、本件は遊技機の移転補償について考えてまいります。



1. 対象物件の概要

敷地概要
  • 敷地面積 約530u
  • 買収される面積 約380u
  • 残る面積 約1150u
  • 買収される割合 約72%
立地条件
  • 駅前の商業地域
  • 建築基準法の用途地域制限
  • 商業地域
建物概要
  • 構造 鉄骨造平家建店舗(パチンコ店)
    遊技機 パチンコ台(120台)、パチスロ台(120台)計240台
    営業時間 午前9時〜午後11時まで
  • 駐車スペース   無
  • 支障状況
     建物は約75%が直接支障となる。
 
2. 遊技機(パチンコ・パチスロ台)の補償の考え方
 
遊技機は、風営法第20条「遊技機の認定及び形式の検定等に関する規則」により設置期間等の適用を受け、公安委員会の許可を得なければなりません。
よって下記の事項を留意します。
  • 同法は平成16年7月1日に規則改正があり、公安委員会による設置時の検定※1を受けて3年を超えるものは使用不可能となりました。(改正前に認定※2を受けた遊技機はこの限りでは有りません)
  • 検定を受けて3年以内の遊技機の移設は可能ですが、取得した検定が無効となり、メーカーの再検査(不正改造の有無)と公安委員会の再検定が必要となります。
  • 同法の規則により、みなし機※3 となる遊技機の移設は検定の許可が下りないため使用不可となります。
【用語解説】
※1[検定]:遊技機の型式試験に合格し、公安委員会に申請し許可を得る事。(有効期間3年)
※2[認定] : 遊技機の使用期間継続の許可を得る事。
※3[みなし機] :検定及び認定の有効期間が切れている遊技機。
 
3. 遊技機(パチンコ・パチスロ台)の移転検討
 
○移設の場合(みなし機は新設)
  • 移設する遊技機は、不正防止のためメーカーに基盤の検査を受ける必要があります。
    また、公安委員会にはメーカーの検査後に発行された保証書を添付した上で、書類審査等を受けることになり、遊技機の移設工事着手から許可証交付までの3.5ヶ月は営業が再開できず、休止期間が長期となります。
  • 遊技機の移設工事は比較的容易に行えるため、新設費用より低額となります。

○新設の場合(全台を新設)
  • 当該地で営業を継続しながら、移転先地にて営業許可申請の手続きが出来ます。  
  • 許可証交付後に移転のするため、休止期間が短期となります。

 4.まとめ
二つの案の要点をまとめると、次の様になります。

検討要素 移設( 不採用 ) 新設( 採用 )
a遊技機(パチンコ、パチスロ台) 移設140台
新設100台
新設240台
a営業休止期間 約3.5ヶ月 約0.5ヶ月
a補償額  移設 > 新設

 上記より本件の事例では補償額が低額になる「新設」を認定しました。
なお、遊技機の経過年数は本来、移転工事着手日を設定して補償すべきでありますが、調査時にて移転工事着手日を設定することは困難であり、また今後の台の入れ替えについても想定不可能なため、本件は調査年月日を基準とし、経過年数を認定しました。


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